執筆を依頼されてから本が書店に並ぶまでの流れ

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もしも出版社から書籍の執筆を依頼されたら、どんなことが気になりますか?印税でしょうか。費用でしょうか。いろいろ気になると思いますが、この本がいつ書店に並ぶのか、スケジュールが気になりませんか?半年後なのか、1年後なのかによってモチベーションも違ってきますし、執筆と本業の両立など、日常生活も変わってきます。

ここでは、出版社から書籍執筆の依頼を受けてから、実際に書籍が書店に並ぶまで、どのような流れになるのか、簡単にまとめておきます。

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執筆依頼を受けた本が書店に並ぶまでのスケジュール

ここでは、わかりやすいように2月1日に出版社からメールで執筆依頼がきたという想定にします(1月の方がキリが良かったんですが、さすがに1月1日に執筆依頼は来ないでしょうから)。

  • 某年2月1日:A出版社より執筆依頼のメールが来る。「コンピュータ書の書き方」という本を企画しています。ご協力いただけるなら、一度、打ち合わせさせていただけないかとのこと。
  • メールをやりとしして、企画についての打ち合わせを2月5日に設定。
  • 2月5日:A出版社にて打ち合わせ。約1時間。企画内容を確認し、「ぜひ、ご協力させていただきます」と返事。2週間以内に簡単な構成(目次)を作成することで合意。
  • 2月19日:書籍について簡単な構成を作成し、出版社にメールで送信。返事待ち。
  • 2月22日:送った構成案に基づく出版社の企画会議にて、企画が承認されたとの返事。正式に執筆に入ることになる。執筆期間について、スケジュールの打診があったので、3月・4月・5月の3か月で執筆すると返答。

    ※ここで、企画会議をふまえての出版社側からの要望などを聞くため、2度目の打ち合わせがあることもあります。

    執筆期間は、書籍の内容や、他の仕事状況によってさまざまです。早く仕上げたい方は、集中して1か月、2か月で執筆することも可能でしょう。逆に、本業が忙しい方は、年単位の執筆になることもあります。

  • 2月26日:5月脱稿(執筆終了のこと)というスケジュールをふまえて、7月刊行という出版スケジュールが出版社から提示される。

    ※この時点で、7月中に自分の本が書店に並ぶというイメージができます。うまくモチベーションをキープする必要があります。

  • 3月から5月末:ひたすら原稿執筆。コツコツというより、できる日はハイスピード、調子がのらない日は、まったく書けないことも。

    ※5月末脱稿のスケジュールでは、5月初旬には、ほぼ全体の原稿が見えてくるイメージで進める必要があります。原稿チェック、全体を通しての用語、口調の統一、整合性を合わせる作業などがあるためです。間違っても、執筆期限の5月末に最後のページを書き終えて出版社に送るようなスケジュール感では、間に合いません。

  • 5月末:無事脱稿。原稿一式を出版社に送る。

    ※メール添付で原稿全体を送信できる場合もありますが、画像、PPTファイルなどの容量が大きい場合、FTPサーバーなどを用意して原稿データを受け渡すこともあります。

    作家さんのように、印刷した原稿を出版社に持って行くということは、この時点ではありません(私は)。

  • 6月1日から:脱稿後は、しばし放心状態(?)で、運が良ければ数日くらいは休憩。本業の仕事が山積みのときは、その処理に追われる。
  • 6月15日:誌面レイアウトのサンプルデザインが完成。出版社より送られてくる。合わせて、6月20日ごろから、ゲラの確認スケジュールを打診されたので、了承する。

    ※ゲラとは、原稿を完成書籍のレイアウトに流し込み、確認用に、紙に試し刷りしたものです。一般的に、脱稿後に、出版社から送られてきます。

    確認作業の大変さは書籍原稿とゲラの出来によってさまざまですが、あっさりした作業になることもあれば、修正箇所が膨大になることもあります。

    最初のゲラから初校、再校(第2校)、最終校、念校など、いくつかの名前が付いています。つまり、何度か確認することがあるということです。

  • 6月20日:宅急便にてゲラが届く。300枚に印刷された書籍全体の原稿を1枚ずつ確認。

    ※初めて出版する方は、きれいにレイアウトされた誌面を見て「いよいよ出版デビュー」だと喜びを実感できます。

    1枚ずつ確認しながら、赤ペンで修正していく(いわゆる、「ゲラに赤を入れる」)こともありますが、最近はPDFで確認することもあります。また、赤ペンで修正を書き込むのは手間なので、印だけ付けて、修正内容はデータで送ることがほとんどです(私の場合)。

  • 6月25日:初校ゲラを出版社に戻す。
  • 6月30日:ゲラの修正点を反映された第2校が届く。初校と同じように確認。
  • 7月2日:第2校を出版社に戻す。今後のスケジュールについて、出版社から連絡がある。7月5日までに、書籍冒頭に掲載する「はじめに」や「著者略歴」などを送るように、とのこと。
  • 7月5日:「はじめに」「著者略歴」「本書の使い方」を出版社に送る。
  • 7月9日:すべての修正を反映した最終校が完成。紙ではなくデータで確認する。特に修正なしと連絡。
  • 7月11日:出版社より校了(作業終了)の連絡。1週間ほどで、見本の書籍が届くとのこと。
  • 7月18日:書籍の見本誌が5冊届く。

    ※届いた見本は、友人、知人に配って良いのですが、修正用に1冊は残しておきます。

  • 7月25日:全国書店(出版社によって異なる)にて、「コンピュータ書の書き方」の販売が開始。

    ※一応、これで一段落です。これは、かなりスムーズに進んだ例ですが、それでも、依頼が来た2月1日から半年が過ぎていることになります。つまり、本業から収入がある場合を除いて、その間の生活費はどうするのか考えておく必要があります。

    ちなみに、7月に出版された書籍の印税が振り込まれるのは、出版社によって異なりますが、早くて8月末、9月15日、遅い場合だと10月末、11月末になります。

    2月1日に仕事依頼があり、その代金が得られるのは、半年から9か月後です。その点に注意が必要です。振り込まれる金額は、執筆した書籍の内容や、出版社によってさまざまです。

書籍の執筆依頼を受けてから、実際に本が書店に並ぶまでの流れは、こんな感じです。

ちなみに、3ヶ月かかる執筆を1ヶ月で終えたとしても、出版時期が2ヶ月早くなるとは限りません。執筆の開始時点で編集者のスケジュールが決まってしまいますし、刊行スケジュールが決まっているので「早く執筆が終わったから前倒しで出版!」というわけにもいきません。

書籍の執筆というと、執筆期間が忙しいイメージがあると思いますが、上のスケジュールを見ると、ゲラが届いてから校了(作業終了)までの期間もピリピリしている感じが伝わってくるかと思います。

原稿を書き終えてしまうと、周りからは結構ひまそうに見られることもありますが、実際は、ゲラチェックから校了までは、細かい修正と短いスケジュールで、かなり緊張が続くこともあります。最後の勝負といったところです。

出版社から依頼を受けるのではなく、自ら売り込んで企画を承認してもらう場合も、流れは同じです。依頼がある前に、売り込み期間があるのが違うだけです。

初めての出版を目指す方の1人でも多くが、チャンスをつかめますように!